最高裁判所第一小法廷 昭和39年(オ)1501号 判決 1966年3月17日
上告人(被控訴人・被告) 金原泰烈
被上告人(控訴人・原告) 矢野安一
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人高木定義の上告理由について
原判決は、被上告人が本件手形を訴外矢野長伍より取得した当時、右手形振出の原因関係である契約に基づく矢野長伍らの上告人に対する債務が不履行となり、上告人が損害を受けるに至るであろうことについてはこれを知らなかった旨の事実を認定しているのであって、右事実認定は原判決挙示の証拠により肯認でき、その間、所論の違法は認められない。所論は、原審の裁量に帰する証拠の取捨判断、事実の認定を非難し、または原判示に問わない事実関係を前提として原判決の違法をいうものであって、採るを得ない。
よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 長部誠吾 裁判官 松田二郎 裁判官 岩田誠)
上告理由
上告代理人高木定義の上告理由要旨
第一点・第二点ともに審理不尽を理由とし、第三点は論旨不明にして、ただ被上告人の訴訟行為が正義の観念に反すると言うのみ。